「採用しても増えない」会社では、退職理由を先に見る
求人を出して採用できても、同じ人数が辞めれば人手不足は解消しません。中小の運送会社では、給与だけでなく「帰宅時間が読めない」「特定の人だけ難しいコースが続く」「休みを頼みにくい」「帰庫後の紙仕事が多い」といった毎日の小さな負担が積み重なります。退職の申し出が出てから理由を聞くのではなく、普段の運行データと働き方から兆候をつかむことが重要です。
1.拘束時間が長く、終業時刻が読めない
国土交通省の2025年度調査では、トラックドライバーの1運行当たり平均拘束時間は10時間13分、荷待ち・荷役等時間は2時間2分でした。運転以外の時間も含めて「どこで時間を使っているか」を分けて見ないと、残業削減の打ち手は見えません。
2.荷待ちを「昔からこうだから」で終わらせている
荷主先で1時間待ち、その後の配送がすべて後ろへずれる。こうした遅れをドライバー個人では解決できません。荷主・曜日・時間帯ごとに荷待ちを記録すれば、配車変更や荷主との改善協議に使える材料になります。
3.配車ができる人に偏る
「この荷主はAさん」「この難しいコースはBさん」と固定すると、短期的には安全でも、できる人ほど負荷が高くなり、新人には経験が蓄積しません。担当可能コースや資格、過去の配車を共有し、代替できる状態を作ることが定着にも効きます。
4.制度上は休めても、実際には休みにくい
有給制度があっても「自分が休むと代わりがいない」状態では取得しづらくなります。休みやすさは福利厚生だけでなく、配車・シフト・担当コースの属人化と表裏一体です。
5.運転以外の細かな作業が多い
日報、現在地の電話、伝票整理、待機時間の記録、翌日の確認。1件は数分でも毎日積み上がります。ドライバー本人でなければできない仕事と、デジタル化・事務側集約が可能な仕事を分けてください。
6.頑張る人ほど仕事が増える
難しい配送、新人フォロー、荷主対応を任せられる人に仕事が集まり、評価は変わらない。この状態は不公平感につながります。データは人を責めるためではなく、仕事量・拘束時間・難易度の偏りを見つけるために使うべきです。
7.辞めると言われてから理由を聞く
退職面談では本音がすべて出るとは限りません。残業の偏り、荷待ちの多い荷主、休日取得、新人の早期離職などを月次で確認し、問題が小さいうちに手を打つ方が現実的です。
採用より先に「辞める原因」を減らす
人手不足対策は求人だけではありません。荷待ち、配車、勤怠、連絡、紙作業、安全管理を一つずつ見直すことで、働き続けやすい環境を作れます。最初からシステムありきにせず、負担が集中している業務から改善してください。
参考にした公的情報
制度・数値に関する記述は、以下の公的資料を確認して作成しています。
※制度や基準は改正される場合があります。実務判断では必ず最新の公的情報をご確認ください。